6月17日に開幕した「布の道標」展が過日8月20日、無事に終了した。
期待と不安の中、スタートした展覧会であったが終了してみれば 10,000人の来場者があり30,000円もする図録が30冊も売れるという予想外の成果報告を受け、満足感と感謝の気持ちで一杯である。改めて細見美術館の関係者の皆様にお礼を申し上げる。
終わってみればアッという間の出来事であったが準備段階では「裂」だけの展覧で来場者が少ないのではないか、真夏の開催で暑さから出足が鈍るのではと心配していた。
私自身、この展覧会を振り返ってみると、時代の風雪に耐えて現存する裂の尊さと先人達の匠の技、意匠に対する熱い思いが改めて心に響いた、と同時に気付くのは500年を境に、それ以前の染織品の存在が難しいことだ。
今でこそ平均寿命80歳などと云われるが、人生40年と云われた時代が長かった歴史からすると500年、12世代の意味するものは大きい。
更に1200年という奇跡的な年月に耐えてきた正倉院御物は人類の宝物である。