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筆 : 齋藤 康二

一段と寒くなりました、1月20日頃は大寒、一年でもっとも寒い時期ということです。

大寒は小寒から数えて15日後とされていて、小寒から大寒、立春までの30日間が

「寒の内」ということになります。

ちょうどこれから15日間程度は寒さのピークといったとこでしょうか、

どうぞお身体に気を付けてお過ごしください。

さて、そんな時期にご紹介する着物の柄は”雪持ち文様”というもの。

(雪持ちというだけで、季節に合わせたのではないのですが、、、)

草花などに雪がこんもりと積もった状態を優雅に表現した文様です、

桃山時代の縫いにも登場し、そのおおらかで柔らかい綿をもったような形の

「雪持ち文様」は遺例も多く残っており、当時から広く使われてきた

柄の一つとなっています。

雪持ちは笹や松、椿や柳など様々な草木に応用され、桃山時代以降は雪景色の観賞も

貴族の間で嗜まれるようになり、また情感もふまえ縫い箔などの技法により能装束や小袖の

衣装としても現在に多く残っています。

※雲井朱地扇面縫い箔訪問着

 

雪持ちというとやはり冬のイメージがありますが、きものでは文様の持つ

風情や情緒といったその個性を嗜むために、あえて季節を問わずお召いただいて

その柄の優雅さを楽しんでいただいています。

 

 

筆 : 齋藤 康二