<光悦生成り地インド金更紗孔雀手染帯>
こちらはインド更紗の中でも珍しい「孔雀手」。
このインドクジャクは大型でオスの成鳥は尾羽を広げると100~150もの羽毛があり、その優雅さからも国鳥とされている。
また昔から密教では孔雀は「明王」(もとは如来像といわれている)の化身、”孔雀明王”は尊格の一つ
無病息災や雨ごいのご利益があるとされ神の象徴でもある。
いつも目にする更紗といば鶏頭手や笹蔓手のように草花が多いイメージだが、インド更紗には意外に多くの生き物が
多様な意味を持ち神の使いとして更紗のモチーフに登場している。
わかりやすいところでは牛もその一つで、神聖な生き物の象徴。
我々や西洋人のように人間の糧として飼育されているのではなくヒンズー教では神の使いと崇められ、
インドでは道行く老人が牛に手を合わせて拝む姿も想像できるくらいである。
(例えば日本でも禅宗に十牛図というものがあり、本来の自己、仏性を牛に例え悟りの象徴としている教本がある)
さて、今回はそんな孔雀手の柄を染帯として復活させた。
これも見事に金更紗の一つとしてその優雅な孔雀明王の姿を再現できたと満足している。