織工程➆-2
前回のブログに引き続き、織りの作業工程をご紹介します。
今回は私が現在織っているローランという織物についてお話しします。
ローランという名前はかつてシルクロードにあった都市「楼蘭」から来ています。
古代の都市から発掘されたかのような風合いの裂を想像し制作した齋藤オリジナルの織物です。
文様のモチーフは、世界各地の民族をイメージしているものが多くあります。
主に洒落帯用の帯地ですが、ごくたまに振袖に合わせる帯を織ることもあります。
ローランの製織の一番のポイントはなんといっても「針刺し」です。
普通の織物は緯糸を入れたあとに框(かまち)で叩いて打ち込みますが、
ローランは、①緯糸を通す、②針を刺す(下の写真参照)、③框を叩く、
これを繰り返して織っていきます。
毎回違う箇所に針を刺すことで、経糸を揺らし、独特の味わいを出します。
織物は基本的にたてとよこで成り立っているので、それとは異なった見え方をするのがローランの魅力です。
ここで少しローランに特徴的な糸についてお話しします。
経糸は金糸の時と銀糸の時があり、金だと豪華な印象や、少し黄味がかるのでローランのモデルとなる「古代の裂」という印象がより強くなります。反対に銀だとすっきりとした印象です。
金糸経
銀糸経
配色の際もそれぞれ合う色、合わない色があり、(例えば、銀糸経には茶系や赤系はあまり合わない、など。)織ってみたら想像と違う!なんてことも多々あります。
また、唐織などと比べて糸使いが自由なので、モール糸やピロ糸など変わった糸が使えるのが織り手としては楽しく、配色や糸を決めるときも工夫のしがいがあります。
組織の面白さや糸の素材感を楽しみたい方は、ローランの帯、おすすめです!
永井