織工程⑦ー3 香纓
前回に引き続き織工程を解説させていただきます。
今回ご紹介させていただく香纓(かよう)は、経糸の揺らぎが大きな特徴で、
夏の帯としてご存知の方もおられると思います。
文様としては、夏の季節の花(朝顔や桔梗)そして流水など涼やかな印象のものがあります。
齋藤織物独自の織物です。
香纓の製織の一番のポイントは「針刺し」です。
一越織るたびに、こちらの針を刺し、框で打ち込みます。
経糸の動きを出すため、その都度刺す位置を変えながら織り上げいていきます。
前回のローランと同じでは?と思われるかも知れませんが、
香纓とローランでは織地の組織(経糸と緯糸の交わり方)が異なります。
香纓は地をアゼにしており、細い緯糸でもしっかり留めます。
経糸を揺らして、組織に隙を作ってもかっちりとした独特なシャリ感のある生地となります。
ローランは地を12綾にしており、ざっくりとした織地になっています。
それゆえに太い緯糸も織り込めるのです。
香纓は地糸も絵緯も細く繊細です。
箔糸の色の濃淡・煌きで
日の光で鮮やかに彩られる夏を見事に表現しています。
宮地