スタッフ日誌 / 

DIARY / KIROKU /

筆 : 齋藤織物

年が明けたと思ったらあっという間に年度末

徐々に日が差して暖かい日も増えてきましたね。

京都でも町中の方ではちらほらと桜の便りも。

↑アトリエの桜です

新生活に向けて引っ越しという方もおられるのではないでしょうか?

さて織物用語にも引越があります。

 

引越と聞くと機を移動させたりするのかな?と思われるかと思いますが

織物でいう「引越」は経糸を継いだ時にできた節を織り前に引き出すことをいいます。

ただ手前に巻き取ればいいのだから、簡単なのでは

と思うかもしれませんが

これもなかなかコツが必要で、慣れないうちはせっかく継いだ経糸を引越の時に

絡ませてしまって切ってしまうことがありました。

経糸の張り具合がポイントになるのですが

それぞれ経糸には素材ごとの癖があるので一概にいえず、

↑色を変えるため継いだ絹の経 極細ですが素直に引っ越せます。

↑銀糸同士の経継ぎ 経の張りが足りないと絡んでしまいますが、強いと節から抜けてしまうことも。

 

一番厄介な三重経などは節が三重に重なり、

経糸それぞれに張り具合を調整しているので、

引き出すに連れて針と伏せと筬の3か所でぎゅうっと寄る際、

絡むのでは?とぞわぞわします。

 

経糸を継ぐタイミングは経糸を使い切ったとき、経糸の色を変えたいときなのですが、

先日くしくも3種の経糸を一斉に継ぐ機会があり、

先輩職人が危うげなくするすると引越してくれました。

自分もコツを掴んで、早く越せるようになれねば、と思っております。

 

 

宮地

筆 : 齋藤織物