先代の教え / 

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筆 : ぎをん 齋藤

6月に銀座で催した「夏のはんなり展」の為に考案した「無双」きものが仕立て上がり、お客様にお送りする前に仕上がりを確認した。

思いのほか出来が良いのに満足。この生地はテレビ番組にヒントを得て気心の知れたYさんに依頼して織り上げた極細の絹糸を用いた薄絹である。いわゆる「ゴース」に似た生地感は一目見た時から「無双」にピッタリだと直感した。

 

無双とは6月〜9月まで着られる薄物きものの一種で、一昔前は一世を風靡した時代もあったが、いまではその名前さえも知らない人が多い。二枚の生地の下の生地に模様を施し、モアレ越しに模様が浮かび上がるという繊細な表現はいかにも日本人らしい発想で清涼感と色気を醸し出すきものである。

 

昔のものは秋草を友禅染で描いたものが多かったが、私は水色のぼかし染めに金の摺箔で菊を描いてみた。先日の展示会で別注の無双を2〜3枚お聞きしているので、それを進めながら濃い地色の物も挑戦したいと思っている。

 

いや!物作りは果てしなく楽しいものである。

筆 : ぎをん 齋藤