5月の着物と帯
コーディネート 田中創造
又昔 付下
生成地 墨流し
松岡姫、小石丸などと並んで古くから珍重されて来た日本の固有蚕種「又昔」を復活させた、繊細で優美な地風の生地に、偶然性の芸術とも言うべき「墨流し」の技法でその場限りの複雑なマーブル文様を染め、更にその下には大筆で力強く書きなぐった筆跡のような不思議な型の白上げが背景文として施され、付下げのポイントとなる部分には絵心のある銀彩やさりげない刺繍のアメンボが加飾されている、という若干こだわり過ぎた感すらあるお着物です。 ただし全体の印象としてはスッキリしており、気軽なお出かけ、美術館やコンサートホールなどにも積極的にご活用いただきたいものです。
380,000円
小千谷太糸紬 染帯
白茶地 本金更紗
季節としては水面に咲く杜若、なども素敵かな…と思いましたが、敢えて季節感は無視、色彩豊かなお花も封印して、金更紗の紬帯を合わせて、シンプルなコーディネートとしました。 全面に本金の加工が施されていますが、型を起こす段階で文様の線を敢えて途切れ途切れにしたり、太細や揺らぎをつけたり、手の味を感じさせる一工夫を取り入れ、さらに摺箔の金自体も経年して剥落したような加工を一部行うことで、フォーマルな雰囲気に振れ過ぎることを防いでいます。 見た目のゴージャス感と、単彩であるがゆえのシンプル感、さらに土台の太糸紬による絶妙なカジュアル感で、様々な色・柄・格のお着物に合わせ易い帯になっております。こういった帯を一本お持ちいただくと、箪笥の中に眠っている「ちょっと癖のある着物」に出演機会を作ってあげられるかも知れません。
260,000円
型、墨流し、銀彩、刺繍と様々な技法が詰まった着物です
仕立て後の上前のイメージ図、柄が繋がっているような錯覚を受けます
お太鼓を正面から、上等なアンティークのような高級感と安定感
古風を出すにも一役買っている、節のある紬
前柄も同様、文様が90度回転し、横長の菱形に
個性的だけどシンプルで、上品な組み合わせ