ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

女将思い出語り

神坂雪佳が大好き!

京都へ嫁いで、齋藤の家の中に昔から有る数々の古書や、明治からの着物下絵等を、眺めていると、筆の使い方や、墨の濃淡による感情や、空気感を自由自在に表現して、その時代の、のんびりとした時間の流れによる天下泰平の穏やかさを、感じます。この情景を、何とか帯に染め表現できないものか、、、と昨年より挑戦しています。

その中でも神坂雪佳の筆使いは、特に好きで、当家伝来の直筆下絵を何日も、眺めて帯に完成させました。

一番の大切なことは、生地の選定で、あの気品さを維持する基本になります。

昨年は、5点ほど作成しましたが、有難い事に、同感して下さる方に巡り会い、お納めさせて頂きましたが、この度3、4点が手元で作成途中となってます。

生業で有りながら、楽しく仕事をさせて貰う家業に心から感謝です。

人生の一コマ

新年、三が日が過ぎて、いよいよ5日から仕事始めとなります。この正月もスキー場で年齢相応の体力と気力をもって、猛吹雪中、充分に楽しめた幸せに、改めて感謝してます。

毎年の事ですが、私は、年頭に自身の年齢を考えて、やり残した事柄を消去法で、優先順位をつけ、手帳にメモ書きして、一年がはじまります。こんな人生をもう50年続けてくると、膨大な記憶の中に、忘れられない苦しさ、辛さも有るけれど、それ以上の楽しさ、喜びもあるもので、それらが其々、人生の一コマづつの画像となり、記憶の連鎖となります。

その連鎖の中に、23年ほど前、イタリアの修復学校で勉強中の次男とスイスで合流し、主人と3人でスキーを楽しんだ人生の一コマが有ります。

スイスの山並みのスケールの大きさは、日本では決して味わえない醍醐味で、若さの宝物が有ればこそでした。

 

人生の一コマでした。

生まれ変わる古裂

先代が半世紀かけて蒐集してきた室町時代から江戸時代初期の古裂が着物や帯の図柄となり、切り付ける事により、長い歴史の中で埋もれていた状態から、現代の女性たちを、喜ばせ、心を豊かにする存在に生まれ変わることは、まさに現代のSDGsを遥かに大きく超えた再生だと思います。

古裂を手にして、その古裂の生きた時代を考えながら、現在の感覚に合わせた図柄を構想している時が、作り手にとって苦しくもあり、又、楽しい時でもありますが、着物や帯の図柄として完成した時、古裂の持つ生命力を、痛感します。

古裂にも、歌舞伎演目の時代物と世話物と一緒で、古裂の表情から、各々の品格や格調の差は自ずと現れてきます。素材が木綿や麻とかの裂は、世話物風に使い、綸子や一越などは、時代物風の図柄にと、古書・文献を片手に、完成図を描き制作する過程は、手間のかかる作業です。

しかし、この古裂再生が、今の私の仕事でもあり、生きがいでもあります。

(※画像はいずれも制作途中です)