ぎをん齋藤
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撚りをかける

突然ですが、下の写真にある白い輪状のものは何でしょうか?お分かりになりますでしょうか…(^^)
※ヒント 箸置きではありません。

こちらは織物製造に用いる「静輪(しずわ)」と呼ばれるもので、生地を製織する前の段階で、糸に撚りをかける「撚糸」の工程などに利用する小道具です。

ふとした機会に、弊店とお付き合いのある白生地問屋さんから頂いたものです。ご丁寧に解説の写真が印刷されたカードまで添えていただきました。

八丁撚糸という言葉は、どこかで聞いた覚えのある方も多いのではないでしょうか。

もともと撚糸の考え方は、一つの繭から取り出せる絹糸では細すぎて製織に堪えない為、何本かの糸を撚り合わせて一本の糸とする事から始まったと考えられます。「ねじり鉢巻き」を思い出していただければ分かりやすいかと思うのですが、たくさん撚りをかける(ねじる)ほど硬い鉢巻きになり、少ししか撚りをかけない(緩くねじる)と、たわみ易くて鉢巻きにならないですよね。

絹布を構成する糸に関しても同様なことが言えます。撚りが強い糸で織った絹は摩擦に強く丈夫な一方で、手触りは硬く、地厚な印象になります。逆に弱撚の糸で織られた布は柔らかくしなやかで繊細な雰囲気がある一方、スリップや毛羽立ちの心配といつも隣り合わせです。

また、生地の光沢に関しても、撚り具合や撚りをかける向きが大きく影響してきます。さらには緯糸に異なる向きの撚りをかけた糸を交互に織り込むことによって、生地の表面に生まれる凹凸(シボ、とも言います)の形や大きさを調整する技術も生み出され、それら撚糸の技術と織り組織との組み合わせによって、様々な風合いの生地を作ることが可能になったのです。

強撚糸を使った特徴的な生地として最もポピュラーなものの一つが、こちら「縮緬」でございます。広義では縮緬と言っても実に様々な見た目の生地が存在するのですが、その中でも「シボ」を際立たせたふっくらした風合いが特長の縮緬地を、特に「鬼しぼ縮緬」などと呼んだりしますが、一般的に「縮緬」と聞いてイメージするのはこういう生地ですよね。
(写真では分かりづらいかも知れませんが…笑)

他にも「御召」や「縮(ちぢみ)」と名の付く織物も、強撚糸の特徴をうまく引き出した魅力的な生地です。

 

…特にオチの無いうんちく話になってしまいましたが、こういった知識をフル活用して魅力的な着物・帯を制作すべく、今日も明日も腕に「撚りをかけて」精進して参ります!