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2015年/08/28

もう何年か前になるか、ブログを書き始めた頃「一見客お断り」の真意を書いた覚えがあるが、最近、あるお客様から営業担当者がお叱りを受けることになった。

本人から事情を詳しく聞いてみると、予約無しに突然入って来られたお客様に戸惑って失礼な応対をしてしまったかもしれないとのこと。

彼の弁解を擁護するつもりはないが、一見のお客様に満足いただけるようなスペースや心の準備はないというのが現実である。
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店内には悠に1000点を超える商品を保有しているが、突然のご要望にお応えするにはかなりの時間がかかり、その間、店先で長くお待たせすることになる、というのも商品は棚に収納しているが広げて柄を確認するのは実際大変な作業なのである。

このような時間を省き気持ちよく適品をご覧に入れるには、どうしても「ご予約」と「何が見たいか」をお聞きしておく必要がある。

祇園界隈のお茶屋や料理屋などでも一見のお客様をお断りしている店が多いのは、最高のおもてなしをするにはお客様への予備知識と準備時間が必要だと考えているからだ。

「お高くとまっている」と誤解を受けることもしばしばあるが真意は全く違っている事をご理解いただきたい。



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2015年/08/25
古くから「訪問着」という言葉を我々の業界では頻繁に使ってきた。

何気なく教えられ使ってきたので深く語意を考えた事は無かったが、改めて考えてみれば普段着に対しての外出着の意味だろうと推察する。となると「きもの」や帯は格調のある楚々したものが望まれるということになるのだろうか?

訪問着以外には「茶席の着物」という要望も結構多い。この場合、茶道の精神であ る「一座建立」を尊び連客との調和を大切にすることや茶道具より目立ってはいけないという不文律もあるだろう、又何よりも季節感が必要とされる。

今、私がチャレンジしているのは「社交着」という新しいジャンルのきもの、帯そしてハンドバッグなどである。最近東京などでよく開かれている国際的なパーティーに相応しいきものと帯や付属品を制作しようと燃えている。

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きものの歴史は古典文学をテーマとして言葉遊び、謎掛けを基にデザインされたものが多く、従って私が得意とする古い衣裳や裂からヒントを得るのは難しい。

西洋式のパーティーでは男性はブラックスーツ、女性はロングドレスと宝石がドレスコードとして決めらる世界で日本人女性が互角に太刀打ち出来るの「きもの」や帯はかつて無かったように思う。




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2015年/08/12
新たに入手した2枚の小袖裂から慶長時代を推し測る。

というのも一般的に慶長小袖と呼ばれるものは、あまりにも構図が異色で、それ以前の桃山時代とも後の寛文時代の小袖とも全く相容れず不規則な構図が独特の異彩を放っているので、つい興味を抱いてしまう。

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そもそも染の制作者たる者は、まず構図全体を理論的に構築し描くべき対象物が相手に理解してもらえるよう筆や色を駆使して制作するのが普通だが、慶長小袖にはその意図が全く無いものが多い。まさに現代アート的直感の世界を感じさせる。

かと言ってアブストラクトなものばかりかというと、そうではなく梅や松、桜など以前からよく使われるモチーフが登場する。

今般入手した慶長小袖2枚も例にもれず絵羽が合うわけでもなく画面を思いつくまま区割りして模様を埋めたとしか思えない。しかも地色はほとんどが紅地もしくは黒地。

どうしてそんな発想が可能なのか?またそれが流行し、許容された世相はどんなであったか興味深い。 




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2015年/08/12
飛鳥、白鳳時代は仏教と切っても切り離せない時代である。

西暦552年仏教が伝来し、同時に多くの仏像が日本に持ち込まれ、あるいは作られた時代である。その旗頭は聖徳太子であり法隆寺が中心となる。

現在、奈良国立博物館で開催されている「白鳳」展も正しく仏教美術を一堂に展観した催しであり、中でも「観世音菩薩像」が多いことに気付かされる。

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人が生きていく上で必ず懐く「生老病死」の悩みから救ってくれるのが観音様であり、6世紀から今日に至るまで観音信仰は連綿と受け継がれている。実は私も熱心な観音信者の一人である。

展覧会の展示品が殆ど仏像であるという奈良らしい企画であったが、その中に一点私が得意とする領域の刺繍裂が展示されていた。

「中宮寺」に伝来した最古の刺繍裂「天寿国縫帳」である。鎖縫い(刺繍の技法)で表された絵は聖徳太子の天国での生活を描いたもので生地は絹ではなく蓮の糸である。

白鳳という時代は神道の国であった日本が仏教という新興宗教を受け入れ、以後神仏を同時に敬う日本独自の宗教観が成立した瞬間である。 




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2015年/08/04
西賀茂工場の浸水騒ぎも多くの人々の尽力によって最小の被害で食い止められ、一連の不幸 もようやく終焉を迎えようとしている。

病気の経過も良好で気管さえ閉じれば健常者と変わらない生活が出来るまでに回復した。

振り返れば僅か3週間の治療期間であったが、入院生活から多くの事を学んだ気がする。

看護師さんたちの献身的な介護、医療制度の不備と患者に対する優しさを欠いた振る舞い、他の患者たちが見せる憂鬱と希望を抱いて退院し て行く明るい笑顔、自分と向き合って一日過ごす多くの自省など普段全く無縁な世界が病院にはあった。

人はいつか必ず死ぬ。この厳然たる事実と真っ向から対峙し瞑目し、老い を自認する。

しかしまだ今は死ねない!と改めて思い起こし夢に一歩でも近ずこうとする 自分の姿は真面目さと滑稽さが同居する。

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