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2017年/04/24

突然友人から一枚の写メが来た。

よく見ると友人の隣に立っている女性は稲葉賀恵さんではないか!。
彼と稲葉さんとは面識はないはずで、後のメールによるとパーティーで一緒だったので私を肴に話が弾んだらしい。

稲葉さんとはかれこれ30年のお付き合いである。彼女もモデルからデザイナーとして大きく飛躍された頃であろうか、洋服だけではなくきものに興味を持ちはじめ雑誌社の女性を介して私のところへ来られたのが最初の出会いだった。

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その後彼女のためにきものを作ってきたが、私にとっては最高の女性である。まず私の感性と彼女の感性とピッタリ共鳴する滅多にお目にかかれない人であるからだ。同時に顔立ちといい背丈といい着映えの良さが私のきものを良く見せてくれる。




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2017年/04/18

たまたま老舗の呉服屋の跡取りとして育てられ、この仕事にどんな意義があるかを考え、悩み眠られぬ夜を迎えることが多かったのは30歳代のころだったように記憶している。

当時は呉服業界もやや下火とはいえまだまだ社屋をビルに建て替える問屋も多く、「ここはイッチョ大きな会社にしてやるか!」と夢見たこともあった。

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当時は結婚が決まり嫁入り支度といえばきものを買い揃えるところから始める時代であった。さる御大家のお嬢様が盛大な嫁入り支度を私どもへご下命いただき、先代社長に帯同されて一通りのご注文をお聞きした後に「こんなに揃えても着ることは無いのにネー」とため息まじりに仰ったお母様の一言で「きものはこれからの時代、数は売れなくなる。」と確信した。

その時から量より質の時代になっていくと確信し、それ以降ひたすら質の向上と維持を目指して勉強を始め古裂の蒐集へと進展したのである。

今から思えば、使わないと分かっているが娘に肩身の狭い思いはさせたくないという親心から風潮、儀礼に流されて無駄なものを買ってしまう不合理さは滑稽に見える。



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2017年/03/18

現在、齋藤織物では工場(アトリエと呼んでいる)の責任者候補生を探している。

最も相応しいのは織物のノウハウを知る紋屋(模様を織り出すためのパンチカードを作る職業)の若手が理想的だと思っている。なぜなら紋屋と織屋が一体となって各々の技術を伝承していくのがベストだと信じているからである。

分業制で成り立ってきた染織業界は、生産数が多い時代はメリットがあったが、これほど数が減ってくると統合していかなければ立ち行かなくなってしまう。大手の銀行でも財閥の垣根を超えて統合しているのに染織業界が未だに分業制に固執しているのは遅れているとしか言いようがない。

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少なくとも昭和40年代のような黄金期が再び訪れることはまず無いのは明白なのに、何人かに声をかけてみても芳しい答えは得られない。

個々の利益のみを追い続けるのではなく、社会的責任に重きを置き技術を持ち寄って伝承を考える時期に入っている。複葉式多色織を真骨頂とする西陣織を絶やさぬよう守り続けなければ、一旦途切れてしまえば再興は難しい。



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2017年/03/13

一昨日まで3日間の武原展が盛況であったと報告を受け、ありがたい気持ちで一杯であると同時に6年前の惨劇を思い出してしまう、多分、死ぬまで忘れられないトラウマとなるのだろうか。16000余名の尊い命を一瞬で奪い去った自然の脅威、教訓を風化させてはいけない。

さて今年の展示会は大勢の来場者を得て無事に終了致したようである。私は喉の不調で留守番役であったが、事前の物作りは、じゅうぶん満足いく仕事ができたので皆さんに喜んでいただけると確信していた。

6月の細見美術館における展観に先立って古裂を利用した、きもの・帯作りは「ぎをん齋藤」の得意とする手法で随分前から行なっているが、今回、初めて模様全体を切り付ける大作にも挑戦してみた。もし6月までに売れなかったら美術館で古裂として展示することも考えている。

振り返ってみると古裂は私の進むべき道を教えてくれ、古美術を扱う楽しさを教えてくれた、かけがえのない友人である。



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2017年/03/04

前々回のブログに掲載した「杜若訪問着」が、あるお客様の目にとまりメールでご注文いただけたという嬉しい報告を社員から受けた。

新しい試みに共感して、お買い上げいただけるのは作家冥利につきるというものである。

実際のところ空気を表現するために出来上がった模様に金や銀、胡粉などを上から吹き付けるのだから職人の度胸が試される。

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もちろん、残り裂の部分で何度もテストをしてから本番に入るのだが、やり直しが効かないから、どうしても躊躇するらしい。私は彼の技量を信じているから思い切ってやればいいと思うのだが、そうは行かないとみえる。

このような試みを行なっている呉服屋は日本中で多分「ぎをん齋藤」一軒だろうが、もの作りを楽しみ、新しいことに挑戦して行くのが私の流儀である。

早速、次の作品は秋の武蔵野をイメージして朝靄に烟る秋草に挑戦してみようと思っているが、思惑通り低く立ち込める朝靄が表現できるか楽しみである。

 


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