早いもので12月になりました。
アトリエ周辺の寺社では紅葉が見頃を迎えています。
街ではクリスマスの飾り付けが始まっている頃でしょうか。
きらびやかな装いには特に欠かせない金糸!
西陣織では多様な金糸が使用されています。
綛のものは、種類ごとに包みになっています。
写真の金糸は「一掛」という太さです。(5分・3分などもっと細い金糸もあります。また、2掛・5掛・10掛、といった太いものも。)
0.49~0.43mmほどに裁断した箔を、120~150デニールの芯糸に巻き付けて作られます。
隙間なく均一に、繊細な工程です。
さらさらです。
金糸は伝統的に”本金”のみが金糸だといわれ、その他の銀やアルミを金色に加工したものは”紛(まがい)”とよばれています。
金銀の輝きをより多くの人に楽しんでもらうため、さまざまな技術開発が行われてきたそうです。
本紛(ほんまがい)金糸
和紙をベースに銀を箔押しし、燻して金箔色に加工します。江戸時代には「唐箔」とよばれていたそうです。
銀を使用している以外は本金糸と変わらない方法で作られます。
ソフト紛金糸
極薄の透明フィルムに金属を真空蒸着させているため、とても軽くて柔らかいのが特徴です。
発色も変化しにくい革新的な製品だそうです。
新紛(しんまがい)金糸
特殊な和紙に純銀を真空蒸着させ、金色に加工してあるため、輝きに透明感と奥行きがあります。
時を重ねると色味に深みが増していく金糸です。
一口に金糸といっても素材や製法により風合いが少しずつ異なります。
本金・本紛金銀糸の重厚感は格別ですが、その分やはりお値段もかさみますし、たくさん使うと重たくなります。
ソフト紛金糸の軽さは魅力的ですが、新紛金糸の優しい発色も捨てがたいものです。
糸を触っていると、平面に見られがちな染織品の物質感・立体感をあらためて感じます。
堺