ぎをん齋藤
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大城大

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ぎをん齋藤スタッフによる、染めに関わるウンチク+京都な日々をお届けします。敷居の高い印象を持たれがちな弊店を、少しでも身近に感じて頂ければ幸いです。

桜満開

4月は昨年に引続き、店内に桜を飾って皆様のお越しをお待ちしておりますが、

ひとつ呉服屋らしい設えとして、店頭の衣桁には江戸末期の桜いっぱい御所解小袖を飾っています。

御所解は風景模様の中に象徴的な題材を配して、文芸・能楽の内容を暗示したりします。

この小袖は、

「松と桜を腰高模様に構成し、裾に滝から流れ落ちる水と、その近くに大天狗が持つ羽団扇と山伏の兜巾をあらわす。これは能の演目の一つで、源義経の幼少時代を題材にした『鞍馬天狗』を示している」(参考:「布の道標」解説より抜粋)

と、先代も著書の中で解説しています。

私もそんなに現物にお目にかかる機会がないので、ここぞとばかりに写真撮りました。

当時の人たちは、ファッションとしての楽しみだけでなく、

この柄が何を示しているか、という教養を試されるような点においても

楽しさを見出して、社交の場での話題のひとつとしていたのでしょうね。

 

こういうと「うわ~小難しくて無理~」と着物に拒絶反応出る方もいるかもしれませんが笑、

推測するに、当時の人たちにとっては、源氏物語や鞍馬天狗、謡曲演目の数々は娯楽のひとつとして

とても馴染み深いものだったのではないでしょうか。

 

完全に大城の私見で深堀りしますが、江戸時代も後期になると、印刷技術の発達や、識字率の向上、

交通網の整備なども進んでいたでしょうし、沢山の絵師が登場して、

文学作品にはイメージを補足する挿絵も象徴的に、且つ面白みをもって添えられたことでしょう。

そんな土壌もあるからこそ、御所解模様を見て、

「ああ!これ牛若丸ね!素敵~((((oノ´3`)ノ!」

みたいなやりとりは、そんなにハードルの高いものではなかったんじゃないかなぁ~と勝手に思ったりするんです笑。

ちょっと蛇足が過ぎましたが、このような貴重な小袖も飾っておりますので、

4月京都にいらっしゃる方は、お時間ございましたら是非弊店にもお立ち寄りくださいませ(^^)/

(※ご来店重なる場合もございますから、事前予約のご連絡はよろしくお願いします)

 

ぎをん齋藤

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✉:gionsaito-ohshiro@outlook.com