ぎをん齋藤
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「源氏物語」を読む

3月の武原展のために「源氏物語」を読むことになったのだが、原文で読むのは私の能力では無理なので

「谷崎潤一郎」の訳本を、正月を利用して読み耽っていた。

それが結構面白いのである。

光源氏を主人公に平安貴族のロマンスとゴシップ満載なのだが登場人物、男であろう女であろうと、とにかく「よく泣く」!

デリケートな場面が連続するせいもあろうが毎ページ涙を流すシーンが書き綴られているのには驚く。

「姿があまりにも美しいので感激して涙する。」「人に軽くあしらわれて泣く。」など、「紫式部」独自の世界観が描かれているのか、宮中中心の公家世界の実態なのかわからないが、美しく表現すれば「物の哀れ」とも「単なる女々しい」だけの世界でもある。

平安時代は別名、藤原時代とも呼ばれるくらい藤原氏一族の時代であった、しかも西暦800年から鎌倉開幕の西暦1200年までの400年も同族が日本を牛耳ったのは徳川の比ではない。

その最盛期に登場する一門の頭領が「藤原道長」、彼が光源氏のモデルだと言われている。

ただ私の興味を持ったのは物語に登場する文物である。

例えば文中に「竹取物語」と言う言葉が登場したり「絵合せ」の巻には「唐の綺」が登場する。

この「綺」と言う織物が謎の織物である。

現在は「かんはた」と呼んでいる面白くもない生地が「綺」の事だと説明されているが、絶対違う。

もっとデリケートな生地に違いない。

その他、「夕顔」の巻には「羅の裳」姿の女性も描かれ、「裳」(も、「スカートのように腰に巻く布」)は天平時代の衣裳だが平安時代にも受け継がれているのが判る。

また「生絹の単衣袴」など一度拝んでみたくなる織物が記載されているが一切この時代の物は現存しない。