ぎをん齋藤
ぎをん齋藤

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躊躇せず、作りたいものを作る!

物作りで一番悩むのは「こんなものを作って買ってくれる人がいるのだろうか?」と躊躇してしまう瞬間である。

贅沢に作りすぎると「値段が高くなりすぎて買える人がいるだろうか?」と自分にブレーキをかけることも再々あった。そんな時、顧客の顔を頭に浮かべると、その人に似合いそうなものについ落ち着いてしまう。と言うのも、若い頃は物作りに自信があるようで無いのが普通で、どうしても妥協した物になってしまいがちだ。

 

私の立場は、染織アーティストであると同時に商人であるがゆえ、余計に悩むのである。しかし、子曰く「70歳にして、心の欲する所に従えどものりをこえず」というから、私も70歳になった今、思うがままの行いをとっても自然の法則から外れることのない、悟りの究極を体得したというはずだ?、、、。

 

その言葉を信じて今では躊躇せず、作りたいものを作ることに徹している。どんな仕事でも楽な仕事はないが、着物や帯を自前で作るのは難しい仕事であると同時に「京都」に在住していなければ、まず不可能である。

 

染め職人、織り職人や糸染め屋、機(はた)材料屋など多くの下職の人々や技術は京都にしかないのだから、それらの職人の協力を得て始めて物作りが可能になる。こんな恵まれた境遇に自分がいるのを忘れがちだったが、今では自分の作りたいものを存分に作れる喜びを噛みしめている。