READ 2020.04.26 日記帳/先代の教え/ 摺箔梵字「観世音菩薩」 作品番号#4の「摺箔梵字」額装が仕上がった。 梵字とはサンスクリット語で古代インドで用いられた言語である。 今回の文字の意味は「観世音菩薩」、私の守護菩薩である。 まだ仏様になる前の修行僧のような身分で、 人の痛み、苦しみを取り除く役目をする為に阿弥陀仏より差し向けられるとされている。 仏教では仏の…
READ 2020.04.09 日記帳/先代の教え/ 杉本博司氏入洛 彼はどういうわけか「何かをしようとすると何かが起こる!」不思議な運命の持ち主である。 私は彼のことを「嵐を呼ぶ男」(石原裕次郎主演の昭和の映画)と呼んでいる。数年前横浜で「三番叟」の公演を開催した折は 大雨警報発令でJRがストップし大勢の人達がチケットの払い戻しを余儀なくされた。 今年の春は京…
READ 2020.03.30 日記帳/先代の教え/ 作品番号3「金銀摺箔日月屏風」が完成 私が特にこのモチーフにこだわったのは「太陽と月」、「陽」と「陰」とも例えられるが、 この世に男と女しか存在しないことから見ても、この世の成り立ち其の物とも取れる。 宇宙の誕生は「ビッグバン」と呼ばれているが太陽系の惑星が誕生した時に地球も誕生し、 地球から月が惑星として誕生したと教わった。…
READ 2020.03.17 日記帳/先代の教え/ 七曜星 「土星を初めとして現在よく知られている順番(土星・太陽・月・火星・水星・木星・金星)で一日ずつを守護するとされ、 七曜の内のある天体が守護する日をその天体の曜日と呼んだ」七曜(しちよう)は、古代中国の天文学で、五惑星(木・火・土・金・水)と太陽(日)と月を併せたものである。 と言う説明をネットで…
READ 2020.03.09 日記帳/先代の教え/ 羽衣重ね 無双用に開発した「羽衣」の生地をもっと幅広く使う為に、袷(あわせ)に染めたきものに 羽衣を重ねた着方を「ぎをん齋藤」は提案する、その名前が「羽衣重ね」である。 きものだけではなく帯にも重ねて新しい雰囲気を醸し出したいとの願いがある。 そもそもこの着方の提案者は建築家の「妹島和代女史」である…
READ 2020.02.25 日記帳/先代の教え/ 染めが停滞する 以前と違って染物の出来上がりに時間がかかる、その一つの理由が「蒸し」での停滞である。 「蒸し」とは化学染料を生地に定着させる為に蒸気で生地を蒸す作業である。 石油のボイラーで高圧の蒸気を生地吹きかけるのだが、商品が数集まらないと燃料のコストがカバーできない。 したがって数が集まるまで「蒸し」屋…
READ 2020.02.05 日記帳/先代の教え/ 仕上がった摺絵、摺箔帯 先般予告していた摺絵、摺箔帯が出来上がってきた。 まだ試作品の段階で細部の手直しは必要だが完成のイメージははっきり掴める、 卒直に「良い出来」だと判断する。 友禅の技法であれば刺繍などを加えなければ弱々しい物になっただろうが、 顔料と純金とでじゅうぶん間が取れる。 さあ!これからどう展…
READ 2020.01.31 日記帳/先代の教え/ 摺箔の前に立ちはだかる壁 摺箔は、シェープの綺麗でダイナミックなものを表現するには申し分がない技法だが、 細かいディテールを描くのが難しい。 期待していた「日月図」の出来がイマイチだ… 当然これから手直しをして納得のいくまで手をかけるつもりだが、最初の一瞥が気に入らないと滅入ってしまう。 いつもうまくいくとは限ら…
READ 2020.01.27 日記帳/先代の教え/ 「源氏物語」を読む 3月の武原展のために「源氏物語」を読むことになったのだが、原文で読むのは私の能力では無理なので 「谷崎潤一郎」の訳本を、正月を利用して読み耽っていた。 それが結構面白いのである。 光源氏を主人公に平安貴族のロマンスとゴシップ満載なのだが登場人物、男であろう女であろうと、とにかく「よく泣く」!…
READ 2020.01.24 日記帳/先代の教え/ 京都で初めての「杉本狂言」開催決まる 杉本博司氏がプロデュースする狂言「三番叟」が今年4月25日(土)にロームシアター京都で開催されることが決定した。 この「三番叟」は、日本で最も古い芸能を杉本さんが再構築した舞台演出作品で、かれこれ10年ほど前から世界各地で公演されてきたのだが、ようやく京都公演が決定した。 杉本さんから舞台で…
READ 2020.01.23 日記帳/先代の教え/ 呉服業界の改革 染めの世界も西陣織の世界も分業を基本としている。 大いに盛んであった時代は分業制を取り入れなければ生産が追っつかなかったのであろう。 しかし中には自分の作品作りのため、自分一人で全ての工程をこなす個人作家もいるが、 ほとんどの場合食べてはいけない。 大半は分業制度に組み込まれた一工程を生…
READ 2020.01.17 日記帳/先代の教え/ 摺絵の道険しい 「摺絵」をいよいよ本格的な商品化を目指し試験を繰り返している。 摺絵とは型を使って顔料を刷り込んで模様にするもので、沖縄の紅型に近い技法である。 友禅染めが繊細な仕上がりを得意とすなら摺絵は力強い仕上がりを得意としている。 尾形光琳が描いた「杜若屏風」は杜若の葉と花の型を作り屏風に配した摺絵の…
READ 2019.11.20 日記帳/先代の教え/ 「室町」という時代 今私が一番興味あるのは室町時代である。 地味な印象があるこの時代は禅宗、茶道、能の芽吹いた時代だから渋い時代だと言える。 また現代の日本社会の原型が出来上がったのも、この時代だと言える。 室町幕府を開いたのは「足利尊氏」、この人は誰でも知っているビッグネームだが、3代将軍、…
READ 2019.11.18 日記帳/先代の教え/ 偽造品発見 インターネットの某サイトで「ぎをん齋藤」の模造品を発見。 以前から別のサイトで 「ぎをん齋藤」の中古品の帯や着物が販売されているのは承知しているが、 今回の物は「商標登録」している当社の「ロゴ」が偽造されていたから問題である。 掲載されているのが個人間の取引を扱うサイトだから運営会社には責任…
READ 2019.11.12 日記帳/先代の教え/ 稲葉賀恵さん「摺箔」激賞 稲葉さんとは本当に付き合いが長い。 以前のブログにも書いたが、もう30年以上になるだろうか、私が婦人誌の着物連載を始めるきっかけを作ってくれたのは彼女がその雑誌社の専属モデルとして活躍されていた事と関係する。 その後、彼女は「ヨシエ イナバ」のオーナーデザイナーとして一時代を作り上げたキャリアウ…
READ 2019.10.31 日記帳/先代の教え/ 千利休を再評価する 葉室 麟の「弧篷のひと」を読んで千利久の美意識を高く再認識した次第である。 文中に主人公の小堀遠州が利久と黒楽茶碗について話し合う場面が登場する。 もちろんフィクションであるが利久は「黒はあの世の色である。茶道をあの世まで貫き通すために黒楽を作った。」という。 私はこれはあり得ない、物書き…
READ 2019.10.24 日記帳/先代の教え/ 石水博物館 津市 来年4月18日(土)から6月14日(日)まで三重県 津市にある「石水博物館」にて私の古裂コレクション展が開催される事が決まった。 前回の細美美術館の展観を踏まえ関西学院大学教授、河上繁樹先生の監修を得て開催されることになる。 列品は前回以降なかなか裂の掘り出し物が少なく、6点の新お目見えとな…
READ 2019.10.19 日記帳/先代の教え/ 窮極の桃山縫箔 私の物作り集大成の一つとして「桃山縫箔」訪問着を8ヶ月がかりで制作した。 コンセプトは桃山時代、淀君を代表とする戦国大名の奥方が身に付けたと思われる小袖を制作し、現在の価格でどれ程の値段になるのか試してみたいと思ったからである。 出来上がった訪問着は純金箔で「山道」を描き四季草花を「渡し縫」…