ぎをん齋藤
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齊藤康二

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京都東山の祇園一角に店を構えて170年余り、
呉服の専門店として自社で制作した独自の
染物・織物をこの弊店で販売しています。
ぎをん齋藤の日常からこだわりの”もの作り”まで、
弊社の魅力を余すことなくお伝えしていきます。
皆様からのお問い合わせ、ご質問などお待ちしております。
◆お問い合わせ
ぎをん齋藤 齊藤康二
TEL:075-561-1207
(Mail) gion.saitokoji0517@gmail.com

73回目の京都秋の陳列会

戦後、昭和20年頃から始めた京都の陳列会も今年で73回目を迎える。

私の記憶にある古い思い出はまだ小学生の頃、会名は「双葉会」といい、秋冬の繁忙期を見越して

夏の終わりの残暑厳しい9月に行われていた。

当時は祖父母も含めた家族経営であったため、商店には主人とその血縁関係の

人間が表で働き、あとはいわゆる年季奉公の丁稚(でっち)が一人、外をカブで走り回っていた。

そのため陳列会となると家族総出で店の会場作りに駆り出され、子供の私も撞木や重い反物を

汗だくになりながらせっせと運んだのを今でも思い出す。

あの当時は今のように労働時間に何の制約もなかったので、みんな夜遅くまで頑張っていたものである。

そんな慌ただしい二日、三日の会であったが最終日の夕方、全ての片付けが終わると

応援に駆けつけてくれた同業の方々と一緒に近くの銭湯へ行って汗を流し、

それから店先でちょっとした慰労会を開くのが楽しみであり、恒例となっていた。

御膳の上には日ごろは食卓にでないような豪勢な食事や酒が花を飾り、疲れを癒して労をねぎらう

その雰囲気はとても心地良く、子供ながらにその楽しさを味わっていたのが懐かしく感じる。

さて、今回の陳列会は73年目というぎをん齋藤の長い歴史の続きである。

これまで様々な出来事や経験、そして長い時間を経て今のぎをん齋藤があると自負しています。

第1回目と同じ場所、同じやり方で今回も皆様をお待ちしています。

どうぞ楽しみにいらしてください。

銘:朱地松皮菱辻が花染名古屋帯

 

 

 

 

地球温暖化

疫病退散、祇園祭りも無事に終わり、京都もいよいよ夏本番といったところ。

例年にもれなく、暑い。

各地も連日猛暑、酷暑とニュースで騒がれるほどの暑さ、観光地はコロナ禍も

明けていよいよという時にまた冷や水を浴びせられ、今年は避暑地でさえ人がまばらだという。

昭和にはなかったように思えるこの暑さ、今の時代の子供たちには可哀想だが夏休みという楽しみも

これからは熱中症対策を考え、行動制限していく時代になっていくのは確かである。

コロナ、地球温暖化、食糧問題、戦争、これから先どうなってゆくのだろうか、、、

AIだなんだと騒いでいる一方で、我々が生きていくための地球環境が確実に悪化している

問題定義にもしっかりと焦点を当てていかなければ、そもそも人間の存続に関わる危機的分岐点が

決して遠くない将来、必ずやってくるという実感は湧かないのではないだろうか。

近年、食糧難も含め世界各地で多くの人が自然災害で命を落とし、また生活もままならない状態になっている中、

これから30年、50年後、想像もつかないような災害に悩まされないように、

今いる我々が何をすべきか、、、

深刻な状況になってからでは遅い気がする。

 

 

題名:琳派十二四季

さて、七月に入りもの作りはいよいよ袷に移る時期である。

先日もこの秋に開催する京都陳列会の「テーマ」をご紹介したが、

今、同時に新たなもの作りも進めている。

まず屏風を想像してほしい、大きな額縁に四季折々の草花が描かれた六曲一隻や

四曲一双、金箔をベースに琳派特有の豪華絢爛な世界を想像すると思う。

今回ご紹介したいのは屛風のように春夏秋冬、四季それぞれの魅力を琳派の世界で描いていく、「琳派十二四季」。

光琳から始まり、中村芳中や酒井抱一、それに鈴木其一といった江戸時代中期から後期の琳派を代表する画家の

作品をモチーフに、その魅力を染帯という形で再現し、日本の四季を感じていただきたいというのが主旨である。

また、このテーマには”静と動”という第二のテーマがある。

それは題材となる絵には必ず”鳥”が描かれているということ、琳派の巨匠たちがとらえた一瞬の美、

自然界における瞬間「静と動」、その美の境地をどれだけ生地の上に表現しきれるか、

これは私に課せる挑戦として、その緊張感を厳密に描写していくと決めた課題でもある。

9月~12月、1月~5月と区切りをつけ、表現は正しくないがまずは四曲一隻、

または秋と冬三曲一双として、これからの会でお披露目できればと考えている最中である。