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齋藤織物 株式会社

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ぎをん齋藤で販売する帯の製造を行っております。
織の知識や織り手の日々を発信していきます。
~お問い合わせ~ 齋藤織物株式会社 
電話075-493-4445
E-mail saito-orimono@pd6.so-net.ne.jp
Instagram @saito_orimono (https://www.instagram.com/saito_orimono/)

アテは当てにならない! ので…

機には大小いろいろな部品が付いていて、それぞれ欠かすことのできない役割を持っています。

その中には「象の鼻」「サル」「メガラス」「おとこ」と呼ばれるものもあったり

その名称もバラエティーに富んでいます!

 

その中でも今回は「アテ」についてご紹介したいと思います。

 「アテ」は織物の打ち込みの密度を一定に保つためのもので、特に密度が粗いものを織る時に使います。

唐織の様にしっかりと地緯を打ち込む織物には使いません。

緯糸の密度が粗い(若い)ものを自分の手加減だけで織ろうとすると、紋が伸びたり縮んだり、段の様にスジが入ったように見えたり加減しようとするので、織るスピードも遅くなってしまい、難しいのです。

そんな時はアテの出番です。

 

歯車を使って織り上がっていく生地を一定に巻き取りながら織り進めていくのですが、↓

 

どれだけ巻き取っていくのかをきめるのが、こちらの溝で、この溝の位置で巻き取る長さを調整しています。

 

筬で緯糸を打ち込むものを「かまち」といいますが、そのかまちをアテに当たるところまでしか打ち込まない事で、緯糸が入り過ぎず、意図した密度で織ることができるのです。

文字通り、アテにかまちを当てながら織っていくのです。

           

 

が、しかし!アテは当てにならないのです!!

織物はお天気にも左右されます。

湿度の多い日と乾燥している日では加減が違います。

アテを使って織っていても、いつのまにか巻き取られる間隔が変わってきて、ヨコ密度が違ってくることがあります。

 

織り密度が変わってきていないか、織り前を見ながら、巻き取る長さを微調整しつつ丁度良い具合をキープし進めてきます。

 

淡々とした繰り返しの仕事に見えますが、

機の調子を感じ取り、こちらが機に寄り添いながら織り進めます。

 

同じ織物を織っても、織り手が変まわれば織り上がりも変わります。

 織り手が機とバランスを取りながら織り上げていくので、工業製品の様に同じ仕上がりにはならないのです。

帯一本一本に織り手と機との関わりの痕跡があります。

 

安井

新しい経糸へ

桃の節句も過ぎ、日増しに春めいてきています。

先日は経継ぎをしました。
唐織に使用するダルマ糸です。

国産の蚕を滋賀県で手引きした、齋藤織物ではなくてはならない糸です。
昨年は夏の高温の影響でお蚕さんの生育が大変だったそうで、ますます貴重になっていきます…

無駄にしないよう、ギリギリまで織って生地にしておきます。

 

縦継は専門の継ぎ屋さんにお願いしています。
ダルマ糸は癖があってヨレやすく、一般的な双糸などと比べると少し継ぎにくいそうです。

 

写真は継いだ後の様子。

手前の黒い方が古くて、白い方が新しく織る経糸です。

これの継ぎ節を一番手前まで引き出します。
綜絖の穴を通る際に、節どうしが絡まるため、切れないよう注意します。

ちょうど、綜絖を越したところ↓

難所を越えてちょっと一息。

 

白いダルマ糸はほんのり透明感があって、つやつやしています。

黒に染めた時とは雰囲気ががらっとかわるので楽しみです。

 

3月六本木陳列会に向けて

あたたかい日がやってきたと思ったら、再び雪が降ったり、なかなかすっきりしない天候が続きます。

アトリエでは、来たる3月六本木陳列会に向けて、それぞれの機で帯を織り進めています!

ここ最近わたしは今まであまり織ってこなかった唐織を織っています。

なんといっても唐織は失敗できない(ほどくと跡が残り、段になりやすい)ので、初めはとても緊張します。

気が付いたら息を止めていることもしばしば。

紋を一返し、二返し、織っていくうちに、だんだん慣れてきて、ペースも上がっていきます。

 

濡れ緯を扱うのですが、暖房をつけている冬は、すぐに乾いてしまって大変です!

(↑濡れ緯。水につけています。)

(↑濡らした経糸。)

(↑経糸に汚れがないか、下に白い紙をあてて確認しています。)

 

今日みたいなどんよりした日は、気分が晴れませんが、

実は良いことが一つあり、湿気が多い日の方が織物は織りやすいのです!

緯がよく入ります。

経のだるま糸も、いつもよりしっとりとして触り心地が良いです。

 

職人一同がんばって織っているので、3月六本木陳列会を楽しみにしていただけたらうれしいです!

 

 

永井